キリスト教会は長い間、旧約聖書を自然にキリスト論的に読んできました。詩篇や預言書の言葉は、最初からキリストを指し示すものとして受け取られてきたのです。初代教会から中世に至るまで、この読み方はほとんど疑問視されることがありませんでした。

 しかし近代になると、考古学や歴史研究の進展によって、旧約聖書をまず「古代イスラエルの文書」として読む必要が強く意識されるようになります。ここで初めて、「旧約は旧約時代に何を意味したのか」と、「それをキリスト教がどう読んだのか」を分けて考える問いが生まれました。キリスト論的読みは、後から付け加えられた解釈ではないか、という批判も起こります。

 こうした緊張関係の中で、20世紀後半に提示されたのが「二段階の読み」という考え方です。これは、旧約聖書をまずその時代の文脈で丁寧に読み、その上で、新約聖書や教会の中でどのように読み直されてきたかを区別して考える立場です。本文の第一義を尊重しながらも、キリスト教の読みを切り捨てない道が模索されました。

 福音的立場から見ると、この二段階の読みは、学問的誠実さと信仰の現実を両立させる一つの有力な方法です。旧約聖書の声にまず耳を傾け、そのうえで、教会がキリストに照らしてそれをどう受け取ってきたのかを語ること。それが、旧約を大切にしつつ、新約とのつながりも見失わない読み方だと言えるでしょう。Dr. Makoto


詳しい解説、第一回キリスト論的旧約解釈はどこから来たのか、第二回「二段階の読み」をめぐる論争、第三回福音的「二段階の読み」という選択、は、YouTubeメンバーサイト(深堀メンバー)で公開しております。

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